てるめめブログ

映画の感想、そして仕事を通じて感じる「組織」の異常さを自分なりの目線で書いていきます。

「3年で辞める」っていうキャッチコピーは悪意にまみれている

「若者はなぜ3年間で辞めるのか?」といった書籍が一時期話題を呼びました。新卒社員が入社後3年間で退職することが多いという統計的なデータに基づいた書籍だったと思います。見るからに悪意を持って若者の働き方に対し提言するかのようなキャッチコピーのせいでより働きにくくなっている現状も無きにしも非ずだと思います。

 

ここで思うのは、そもそも3年で辞めることはダメなことなのか?という視点です。会社を辞めるということは何かしら意味があると思います。激務、薄給といった待遇面、雰囲気や社風が合わないといった環境面、自分のやりたいことと組織の方向性の不一致といった志向面など様々な理由があります。

 

こういう理由は入社して初めて見えてくるものです。入社前、もっというと面接前にはまず分かりません。求人広告には美辞麗句が踊り、仲のよさそうな従業員の写真やノリのいいコピーがいたるとことに載せられています。嘘ではないかも知れませんが確実に誇張はしているでしょう。応募者側が面接時に自分の能力や経験を誇張して話すようなものです。はっきり言ってそんなことよりも遥かにたちが悪いですが、得てして企業の採用活動ってやつは煌びやかな装飾品に身を固めたうえで行われているのが現実です。

 

つまり、このような情報しか収集できない現在の就活システムがある以上、ミスマッチは切っても切り離せないことだと思います。そして運よく自分の志向や希望に合致した組織に入れたのであればそれはラッキーです。しかしそう思える人は全体の何割なのかはわかりませんが少数派だとも思います。残りの人たちは上手く自分を組織に合わせるか、新たな価値を発見するか、妥協するか、あきらめるかを3年以内に決めるのでしょう。

 

そして「あきらめる」という選択肢を選び別の世界に活路を見出す人が増えたため、「若者はなぜ3年で辞めるのか」といったネガティブなコピーが存在感を示し始めたのかもしれません。べつに3年で辞めてもよいじゃないか。何度もトライアンドエラーを繰り返し、PDCAを回し、自分に最も合う組織に巡り合えればそれはとても素晴らしいことではないだろうか。日本に存在する転職は悪だという風土や文化なんて無視すればいいんじゃないか。自分の幸せを追求しやりたいことをどんどんやってみることの方が何倍も輝いているよ。

 

とまぁ、いろいろと書いてきましたが、人生の方向転換、リ・スタートを推進する私の本音が出たと思ってます。そして今回の記事はあくまで企業側、募集側を悪くイメージして書いています。当然応募側も自分たちの経歴を誇張したり装飾したりしてできる限りのアピールをしているはずです。そういった双方の応酬が現在の就職活動を蝕んでいる病なのかもしれません。

 

しかし、本音や実態を素直に出せる企業も応募者もはっきり言って存在しないでしょう。だから「転職会議」といった会社内のことに関する社員の投稿サイトが価値を生み出すのかなって思います。私は、こういうギャップを解消できるような仕組みを考えてみたいなって思いますね。そして、お互いが本音で語り合える就職活動。誇張無しでベストマッチを生み出せるような仕組みが今後出てくることを期待します。

 

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

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