【主】個人の問題か、組織の問題か?
- 作者: 小坂井敏晶
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2008/08
- メディア: 単行本
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「それはそんなことをした人の問題であって組織は何の関係もない」
こんな事を真顔で言われました。自分の個人情報(人事機密)を飲み会の席で不特定多数に漏洩されたので責任者クラスに抗議したらこういう返答が返ってきました。
さらにこの責任者までもが「絶対他の人には話さない」と言ったのにもかかわらず、翌日には他の人に情報が漏れていました。
ここで問題です。この事例を見るに悪いのは情報を漏洩した個々人でしょうか、それとも2度も続けて情報を漏洩してしまったこの組織の問題でしょうか。
私は「組織」が悪いと考えます。
確かに問題を起こした本人のモラルや危機管理意識の欠如が起因してこの事件を発生させてしまったとも言えます。しかし、そのような状況を許した組織の風土や教育体制、危機管理態勢が全くなっていなかったのが根本的な原因であるとも言えます。
また、このような状況を不特定多数の方が見ると概ね「組織」が悪いと判断します。沖縄の米軍が猥褻事件を繰り返している現状を見ると、米軍全体が危険でハレンチな組織だと思えてきます。とあるクレジットカード会社の社員が個人情報の漏洩事件を引き起こしたら、この会社は情報管理態勢が不十分だから契約は控えよう、と判断する消費者も少なくありません。
ただ、個人が引き起こしたという点を見るとやっぱり個人が悪いとも判断出来ます。しかし、組織として「問題を引き起こした個人だけが悪い」なんて言えるわけがありません。暴力事件を起こした教師だけが悪いのではなく、教育委員会の体制自体を問題視する声も上がっていますし、柔道連盟も同様の非難を受けています。
だから、こういう事例が起こった場合は個人だけを非難する組織のやり方はどう考えてもおかしいわけです。組織で動いている以上、個人のミスは組織の問題として取り扱わなければなりません。組織として見解を出した上で個人の処分を社内的に検討すべきです。
「それはそんなことをした人の問題であって組織は何の関係もない」
こんなことを責任者クラスが真顔で話すような組織にもし在籍しているとしたら、さっさと出て行くことをオススメします。
会社の絞め殺し学 ダメな組織を救う本 (祥伝社黄金文庫 ひ 9-1)
- 作者: 弘中勝
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2007/12/12
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