てるめめブログ

映画の感想、そして仕事を通じて感じる「組織」の異常さを自分なりの目線で書いていきます。

組織の規模と新人研修について

名刺交換、挨拶の仕方、営業先に出向いた時のマナー、飲み会での席順等々・・・ 新人研修ではこういった基本的なことを外部の講師もしくは社内の人事担当者から教わります。大体1週間くらい本社会議室にて毎日このようなことが繰り返されます。

 

また、社史や業界の話、トップの講演から宗教じみたマインドを植え付ける講話などなど様々なことが行われます。私の勝手な考えですが、大企業、比較的大きなオーナー企業などでは、こんなことするの?? と思えるようなことも平然と行われていたりします。

 

そんなわけで、一部上場企業(オーナー企業)、ベンチャー企業(創業3年目)、国家機関、研修担当者(逆に研修を行う側)と様々な立場で「新人研修」を見てきた私の経験を元に色々とあり得ないだろうって話を書いていきたいと思います。

 

 

【一部上場企業(オーナー企業)】

<良い点>

強い連帯感。同じ考えや方向性の仲間を作る研修体制。

<悪い点>

精神論。トップは神様。古くさい。同調性が重視される。プライベートにも深く詮索される(いつまでに結婚したい?子供は?)。

  

【ベンチャー企業】

<良い点>

即使える知識を短時間で教育。集合研修は最小限でほぼOJT

<悪い点>

OJTに依存している分、そのときの教育担当のレベルに左右される。

  

【国家機関】

<良い点>

一流とよばれる研修講師が来る(文化人やジャーナリスト等々)。

<悪い点>

無駄なカリキュラムが多すぎる(5日間のうち4日間は無駄)。研修で学べることは特になく、いわば同期の連帯感作り。

 

 

こんなところです。私的にはベンチャー企業の研修が最も気に入ってました。無駄なことはせずすぐに仕事に使えるノウハウを短時間で学べました。また、仕事なんて実際にやってみないとわかりません。だからこそ、OJT重視ですぐに現場に入って動く方が効率が良いと思います。同期の連帯感といっても、その同期がいつ辞めるか分からないので私はどちらかと言えば軽視していました。私の基本的な考え方は、シンプル、効率的、仕事とプライベートは完全に分ける、という考えなので、こういうドライな研修体制が最も好みだったってことでしょう。

 

このような性格なので、一部上場企業や国家機関の研修は私にとって相性最悪でした。見栄を張って有名人を研修に呼んで話をさせることって確かにいい話は聞けますが、それを聞いたからといって仕事に良い影響を与えられるかどうかは別問題です。勉強にはなりますが私には意味が無いように思えました。

 

むしろ、簿記や労務の知識を幅広く薄っぺらく導入部分だけ教える方がまだ役立ちます。新人は様々な学部を卒業し集まってきます。また、経営学部や経済学部を卒業しても簿記の知識を全く持っていない人の方が多いくらいです。だからこそ、企業経営に必要な基礎知識を意識させるような研修が大切だったりすると思うんです。

 

また、他にも社訓を大声で何度も読まされる、社歌を歌わされる、新人は広い一緒の部屋で寝泊まりさせられる等々、なんか今の時代に似つかわしくないなって思うようなことをたくさん経験しました。入社して1週間経って、うーん、違うな。。。と思わざるを得ない場面が多々ありました。

 

こういう体制、社風なんてのは本当に入るまで分からない。説明会や面接ではこういう話は聞くことが出来ません。また、自分の性格や志向と組織の性格や志向が必ずしも一致するかなんて人事はあまり意識出来ないと思います。採用試験を受けに来る人は、いい人、出来る人を演じるんだからお互いその部分は分からないんですよね。

 

では、意識出来ないのにどうやって採用するのか? という疑問がわきます。その答えは優先順位と教育体制にあります。採用試験では、どちらかと言えば論理的思考力や調査力、仮説力なんて部分を重視します。話が分かりやすく理解でき、自社や業界のこともよく知っててくれていて、さらに入社後の自分の活かし方、やりたいことを上手く想像できる人ってのは伸びる可能性が高いので。

 

また、志向も教育である程度操作できます。ブラック企業に入ると、苦しいのが当然。上には文句言わず従う。という変なマインドコントロールをいつの間にか受けてる、という話を良く聞きます。そう、研修や現場での教育次第でいくらでも人の志向や行動指針は変えられるんです。

 

海外の就職事情をうっすらと聞くと、大学での専門性を活かした採用を行う比重がある程度ありそうですが、日本ではどの学部を卒業していても採用可能性はあるわけです。どんな勉強をしてこようが、面接で聞かれるのはバイトやサークル活動での経験談のみ。営業マン経験者に対し、仕事以外でがんばってきたことのみ質問するようなものです。このような日本の採用状況だからこそ、入社時点ではほぼ全員が真っ白な状態と判断し、様々な教育を付して色づけていくわけです。即戦力なんて誰一人いないと考えて研修は組み立てられるのだと思います。

 

というわけで、変な研修やあり得ない行動を取らされる等の原因が、このような採用体制にあるのかなと思ったりします。特に大きな組織の研修は、多かれ少なかれ無駄な部分が多いってことなんです。

 

しかしここで問題なのは、担当者や受講者個人個人に話を聞くと「無駄だ!」と思ってる人はたくさんいるってことです。しかし、雰囲気や変化を嫌う体質が強いため、実施体制は変わらない悪循環が多数あるのも事実です。だからこそ、ベンチャー企業や比較的革新的な取り組みを行う企業の研修がマスコミに取り上げられたりするんだと思うんですよ。

 

このあたりのお話はまた今度。。。