企業が求めるコミュニケーション能力とは自分を殺すことなのではないか
会社説明会等で繰り返し言われるフレーズがあります。それは「求める人材像はコミュニケーション能力が高い人」というものです。どんな説明会に行っても、どんな求人広告を見ても大抵こんなことが書いています。こういう説明をしている時点で、説明者や主催企業にはコミュニケーション能力が無いのでは、と感じてしまいます。
では「コミュニケーション能力」とは何でしょうか? 飲み会で盛り上がることが出来る力でしょうか。それともみんなと仲良く仕事が出来る能力でしょうか。私が思うに、これらすべてコミュニケーション能力だとは思いますが、企業がそんなものを求めているとは思えません。また、たった30分程度の面接内でこんな能力があるかどうかなんて分かるわけがありません。しかし、こんなにこのフレーズを多用する以上、企業側はコミュニケーション能力というよく分からないフレーズの定義をしっかりと設定しているのではないかと思います。
そんな定義は何か? これを今までの経験から考えると「自分の意見を殺しつつ、いかにして周りに合わせるか」だと思います。大きな組織は多かれ少なかれ体育会系です。上の意見がある意味絶対です。何人もの意志決定者から許可を貰い最終意志決定者までたどり着いても、その人次第で中身が一転することもあります。
だからこそ、ある意味自分の意志を殺し、周りに合わせつつ成果を上げることが出来る能力は必要とされるのかもしれません。また、飲み会に参加したくなくても参加する、周りと波風立てずに協力して仕事を行うこと、こういう組織に上手く染まって成果を上げることが出来る能力こそがコミュニケーション能力じゃないかと思います。
こんなことは説明会などでは話されません。しかし、少なからず人事側はこんなことを考えていると思います。ベンチャー企業や革新的な取り組みを行っている組織はこの例に漏れると思いますが、旧態依然とした大組織であればなおさらこういうマインドが必要とされると思います。
私はこういう考え方が大嫌いなので、コミュニケーション能力に欠けているのかなと思っています。企業が求める本音ベースのコミュニケーション能力。絶対に話してくれませんので、こういう考えもあるんだと心の片隅にでも置いといてください。
わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)
- 作者: 平田オリザ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/10/18
- メディア: 新書
- 購入: 6人 クリック: 69回
- この商品を含むブログ (32件) を見る