【主】くだらない感情論でつぶそうとする世界
- 作者: 諫山創
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/03/17
- メディア: コミック
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先日「進撃の巨人」という漫画を読んだところ、これがまた面白く一気に全巻そろえるほどハマってしまった。アニメも良くできているし、何よりストーリーが良い。良くある少年漫画の「ヒーローが現れて何とかしてくれる」的な希望が一切無く、絶望と諦めといったドス黒い感情が漫画全体を支配しているところが面白い。ページをめくるたびに興奮する気持ちを感じるのは久しぶりである。
そんな漫画をAmazonのKindleという電子書籍でそろえたのだが、その購入の際に1つ引っかかる記載があった。それは「カスタマーレビュー」に投稿された感想、というか意見というかそういった意味合いの投稿だ。概ねストーリーのすばらしさや予測できないシナリオ展開の面白さ、キャラクターの魅力などが語られていたが、それ以外にかなり辛辣な不評が書かれていた。
それは「絵が下手」というものだ。ストーリー展開が読める、とかキャラクターがありきたりとかそういう内容に深く関わる批判はあってしかるべきだと思うが、この漫画の批判がほぼ「絵が下手」という意見になっている。読者はそんなに整った小綺麗な絵を求めているのだろうか。
これは主観になるが、私が読んだところ「絵が下手」だと感じる箇所は無かった。正直どこが下手なんだろうと首をかしげてしまう。しかし、カスタマーレビューに投稿するような高度な読者層はそう感じなかったようだ。絵が下手だということを理由にこの漫画の評価を下げ、星の数を少なくすることに躍起になっているのではないかと思ってしまった。
漫画だけではない。例えば政治家であったり芸能人に対してもこのようなピンポイントの粗探しを行いそこをクローズアップする方はごまんといる。漢字をたまたま読めなかった政治家に対し「こんな漢字が読めないなんてレベルが低すぎる」とか、「ファミレスの店員に注意するなんて心が狭い」といったようなちょっとしたミスをあたかも世界が終わるかくらいのインパクトでたたき上げる。このような風潮のワイドショーやウェブサイトは気持ち悪くて仕方がない。
だからこそ、全ての事象に対してもっと寛容に接するべきだと思う。漢字が読めない政治家は当然いるし、絵がそこまで上手なレベルに達していない漫画家もいる。我々消費者の過剰にサービスを求めすぎているこの現状を変えるには、個々人が寛容さを取り戻さなければならない。
- アーティスト: Linked Horizon
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: CD
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