てるめめブログ

映画の感想、そして仕事を通じて感じる「組織」の異常さを自分なりの目線で書いていきます。

【映】劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~ 演奏も人間関係模様も良かった!けど…

f:id:tel_01:20190419223404j:plain


小説もアニメもリズと青い鳥もすべて観てます。なんなら聖地巡礼も行きましたし京都アニメーション本社前まで行ってきました。そんなわけでユーフォ、かなり期待しつつ公開日に観てきた感想を率直に書いてみました。











※ちょっとネタバレあり








ストーリー

物語は久美子たちが2年生になり新入生の後輩が入部してくるってところからスタート。低音パートにちゃんと新入生が来るのかなぁって悩みつつ・・・ってシーンはTVシリーズの2話とか思い出しちゃいますね。そんな中久美子は後輩の指導係として優しく教えつつ、サンライズフェスティバルやコンクールのオーディションに向けて黙々と練習。。。


でもそう簡単にはいかないわけで。個性的すぎる後輩たちが部内をかき乱します。先輩より上手に演奏できる後輩、オーディションで上級生を追い抜いてコンクールメンバーに選ばれちゃったら立場が悪くなるのでは・・・そもそも下手な先輩との接し方が・・・そんなジレンマに戸惑いつつも、うまく緩やかになだめておさめる先輩の久美子が可愛いですね。大人になったら苦労しそう。


そんな物語はサンライズフェスティバルからのコンクール、というところまで進みます。1時間半くらいの映画ですが、その中に本当に大切で良いシーンを厳選して並べて構成した感じがしますね。展開が早いけど演奏シーンみたいな超重要シーンはふんだんに時間と技術を使っていたなぁって思います。


演出

いやー、良かった!特に演奏シーン!舞台上で激しく動き回り、汗が流れ、瞳から燃えたぎる熱さを感じられるほどの強い演奏描写を楽しめるなんて感動しかありません。


コンクール会場内を縦横無尽に動き回るカメラワーク、そして各パートの演奏が音楽に合わせてクローズアップされ、時折カラフルに彩られた楽譜が映り込みます。リズと青い鳥の演奏では序盤から徐々に盛り上がりを魅せそしてオーボエのソロパート。「リズと青い鳥」では音楽室内での演奏でしたが、今回はコンクール会場でカラフルに彩られた力強いオーボエの音色には感動させられました。


また、京都北宇治付近の町並みや鴨川と橋と久美子と秀一。。。いやー、やっぱり京都アニメーションの描くきれいな背景美術はたまらないですね。一日中観ていても飽きない。


キャラクター

新キャラがたくさん出てきます。ユーフォニアムパートに入った1年生の奏は周りの状況をしっかり見ながら動けるけど計算高い可愛い女の子。このキャラクターがある種今回の映画の主人公と言っても良いのではないでしょうか。またチューバパートに入った1年生の美玲は居残り練習には残らずさっさと帰ってしまうドライで取っつきにくい人見知りな女の子。この2人が中心となって物語をかき乱します。


また、2年生になった久美子や秀一、麗奈や緑たちも後輩ができたことで多少はしっかり振る舞わないとっていう雰囲気が出てましたね。特に久美子と後輩たちとの絡みであったり、同じユーフォニアムパートの奏と繰り広げる若干危なっかしい関係模様は観ていてハラハラさせられました。でも、みんな可愛いんだよなぁ。サファイアちゃんは映画でさらに可愛さが増したと言うか先輩になって威厳が出たと言うか、とにかくいいキャラになってます。


個人的に好きなあすか先輩や香織先輩もちょこっと出てきてくれたのは嬉しかったですね。逆にリズと青い鳥主要メンバーはあまり出番がなかったかな。流石にユーフォは登場人物が多すぎるので全員を光らせるのは流石に無理か。


注目ポイント

一番話したいけど話せないのが開始すぐのシーンでしょう! いきなりぶち込んできましたよ。しかもその後のシーンでは特にこのことを触れず、何となく雰囲気でわかってね♪ という演出が上手かったかな。


ただ、このシーンは良いんですが、新入生が部活に入ってきて楽器を決めてそれぞれ練習に入って、、、というところから結構すぐにマーチングのシーンになり、そうこうしてるうちに大会のシーンが来て、と12話ワンクールでやるべき話を映画サイズに縮めているのでいささか端折ってる感は否めません。


また、この映画の最後のシーンも最終話の最後に出てくるシーンというよりは「6話のエンディングテーマ前の場面」のような感じ(分かりにくいかな?)。さらにスタッフロール後にオマケ的な小話もあったのですが、これがまぁなんとも。「つまりそういうことなんでしょ?」と言いたくなるような展開だったのでモヤモヤしつつも期待してしまいました。


いい意味で中途半端な終わり方でした。あ、こんな感じなんだ・・・と拍子抜けする人もいるはずです。原作を知っている身としては予想はしていましたが、あえて映画でこういう終わり方を表現するってのは「何か」を期待してもいいってことなのかと。



という感じでした。仕事を早めに抜け公開日に観て良かったです。個人的には大満足。ファンとしてはちょっと物足りなかったけど感動しました。今年の私的良かった映画暫定ナンバーワンかな?オススメです!


※注意点

原作小説、アニメシリーズや「リズと青い鳥」を観ていない方は観ても「なんのこっちゃ?」って感じになると思います。まずはアニメ一期、二期を観てからじゃないと楽しめないんじゃないかな。なので、まずは原作小説もしくはアニメを予習したほうが良いですよ~






「響け! ユーフォニアム」Blu-ray BOX

「響け! ユーフォニアム」Blu-ray BOX

【Amazon.co.jp限定】「響け! ユーフォニアム」Blu-ray BOX(収納BOX付き)

【Amazon.co.jp限定】「響け! ユーフォニアム」Blu-ray BOX(収納BOX付き)

響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌 (宝島社文庫)

響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌 (宝島社文庫)

劇場版 響け! ユーフォニアム ~届けたいメロディ~ [Blu-ray]

劇場版 響け! ユーフォニアム ~届けたいメロディ~ [Blu-ray]

【映】翔んで埼玉 ~馬鹿なことを本気で真面目に!~

f:id:tel_01:20190317005338j:plain


いやー、最高でした!


ものすごくバカバカしいことを本気で真面目に真剣に取り組んで最高のエンターテインメントを創り出したってやつですね。「邦画史上最大の茶番劇」とはよく行ったもんです。ここまで始めから終わりまで爆笑できる映画は久々です!

ストーリー

あってないようなものかもしれませんが、東京ー埼玉間の通行手形を廃止させるべく東京都と戦う埼玉県、というのが大まかなストーリー。そんな東京都に実は埼玉県人である麻実麗(GACKT)がアメリカから帰国。そして東京都知事になるルートでもある白鵬堂学院に入学し・・・と学園モノなのか?というシーンから物語はスタート。


そしたら生徒会長の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)と始めは敵対してたけどいつの間にか好かれてしまい一緒に埼玉へ逃避行。その先々(池袋・千葉・・・)で思わぬ敵と遭遇したりピーナッツを体のありとあらゆる穴に入れられそうになったり、サイタマラリアに罹ってしまい危険な状態になってしまったり・・・と若干勢いだけで話が進んでいきます。


そして最終的には埼玉県勢と千葉県勢数万人規模が相対し合戦が繰り広げられ・・・そんな中東京では百美が暗躍し~ となかなか説明しづらい荒唐無稽で破茶滅茶なストーリー。でもなぜかちょっとした変な感動が最後には残るんですよ。


ホントに下らない茶番劇ですけどここ最近観た映画の中でダントツで一番面白い。素晴らしい映画でした。


キャラクター

実は原作コミックを読んだことがあるんですよ。主人公の麗や生徒会長の百美、その他のキャラクターが異様に原作に忠実で爆笑でした。よくGACKTがこんなにくだらない茶番映画の高校生役を受けたなぁというのが驚きですよ。


それにしても百美が可愛い!男性という設定なんだけどツンツンしてるのも魅力的だし麗にデレて女の顔を魅せるのも可愛い。あの金髪も似合ってる。ただ、所沢とか春日部とか聞いただけで狼狽するシーンは爆笑でしたが。。。


また、千葉開放戦線の阿久津翔のスマートな立ち居振る舞いや異常なほどの怪しい笑顔が印象的です。GACKTとの妙にBLチックな絡みも見どころなんでしょうか。


そんな個性的すぎるキャラクターたちが地元愛を輝かせつつ知らずのうちに地元をディスっているこの絶妙なシュールな面白さがたまりません。


見どころ

GACKTが本気で真面目に発したちょっとしたセリフが劇場では大爆笑。また、個人的に好きな「踏絵」のシーンは原作にある程度忠実で最高でした(原作だと埼玉県知事の踏絵、映画では草加せんべいの踏絵)。


特に面白かったのは川を挟んで埼玉県勢と千葉県勢が相対しそれぞれの県の出身有名人で競う場面。絶妙に主審芸能人をディスりつつ埼玉と千葉の格を争うバカバカしい場面は一番劇場内が湧きました。一応「戦争」してるんだけど悲壮感は皆無。真剣な演者たちを爆笑しながら観るのがこの場のルールなんでしょう。


そんなこの場面。なんといえばいいんだろ、日本って平和だなぁ、って心の底から笑える茶番劇。最高です。さらにエンドロールも飽きずに笑いながら観れるのがすごい。最後の最後までしっかり笑って劇場を後にできるのって素敵ですよね。


結末

最後はハッピーエンド、というか埼玉県人の激しい野望で物語が終わります。まぁ、笑いしか無いんですけどね。映画館がいつも満席でなかなか観に行けなかったのも納得です。だって面白いもん。


間違いなく2019年上半期で最も面白い映画だと思います。映画館で観ることができるチャンスが有るのなら迷わず観に行くことを心の底からおすすめします!



このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉 (Konomanga ga Sugoi!COMICS)

このマンガがすごい! comics 翔んで埼玉 (Konomanga ga Sugoi!COMICS)

翔んで埼玉

翔んで埼玉

映画『翔んで埼玉』公式ガイドブック

映画『翔んで埼玉』公式ガイドブック

翔ばして! 埼玉 魔夜峰央パーフェクトお仕事ブック

翔ばして! 埼玉 魔夜峰央パーフェクトお仕事ブック

【映】アクアマン ~金持ちが作った道楽映画に過ぎない駄作~

f:id:tel_01:20190216205122j:plain


ただ長いだけのB級映画でした。ストーリーの無さを映像表現でごまかした金をかけて強引に楽しませる金持ちの道楽映画です。なんで世界で1000億突破といったニュースが出るほど流行ってるんだろ?


ストーリーについて

小学生向けのアニメを金をかけて超大作実写映画にしましたという感じです。内容は、海底人と地上人との間に生まれた子が大きくなり、海底の国や地上の危機を解決するために立ち向かうというよくあるお話です。


そんなストーリーの中に、母を殺された恨みだったり、海底にある国同士の闘いから地上制圧に向けた動きなどやや複雑な場面が入り乱れます。


主人公のアクアマンであるアーサーが海底の国々を治めるには、アトランティス王の残した伝説の武器(三股の槍)を手にする必要があるということで、海底の国からサハラ砂漠(元々海だった)やイタリアなどを縦横無尽に巡って手がかりを探すんだけど、途中途中で追手や新たな敵と遭遇し街の迷惑顧みずド派手な破壊アクションを繰り広げます。


結構細かな説明を省きつつどんどん物語が進むんですが、これは非常に良かったですね。だらだらつまらないシーンを挟み込まれるよりも、さっさとド派手な本編を進めてもらったほうが楽しい映画だったので。


なので、砂漠からイタリアへどうやって行ったの?とか、イタリアを明らかに未来的な兵器を使って破壊しまくって大丈夫?とか、そもそもニュースで「アクアマンが助けた~」みたいに流されてるけどそういう世界観なの?とか、そういう疑問は置いといて本能のままに愉しめばいい、そんな映画です。


最後はお決まりのハッピーエンドで締められます。ま、そうだろなぁと皆さんも思うんじゃないでしょうか。そんなこの映画は2時間半くらいあったのですが、やたら長い中に上下左右ぐるぐる回るカメラワークと激しいアクション満載なので結構酔います。私は途中で席を立って外に出て体を落ち着かせないと駄目なくらい酔ってしまいました。お気をつけて。


キャラクターや世界観について

アクアマンことアーサーは見た目は強面だし上半身入れ墨だらけなんですが、根は優しいし愛嬌もあるナイスガイ。ヒロインのメラ王女は目標に向かって突き進む強引さはあれど国を思う気持ちは人一倍。そんな二人が中心となって物語が進んでいきます。


ときに衝突したり助け合いながら苦難を乗り越え、最後はお互い何故か愛し合ってるというこちらもお決まりパターンでした。


また海底にいる人達はなんというか「マイティ・ソー」に出てくるアスガルドにいる人達って感じです。海底世界はまさにアスガルド。もっと言うと、技術レベルがかなり発達した未来都市アスガルド。海底に出入国管制や砲撃システムを完備した地上よりも遥かに進んだ国があるんですよ。


彼らなら地上をあっという間に制圧できるんじゃね?って思えるほどの戦力差にアクアマン一人が立ち向かう漫画のような展開は決して呆れてはいけません。楽しんだもの勝ちです。


映像表現について

これはさすがのDC映画ですよ。日本の漫画実写化作品のショボさとは比べ物にならないほどの映像表現は素晴らしい。海の中で泳ぎ回るシーンは「どうやって撮ったの!?」って思うほどリアルな出来。海底人っているんじゃない?って思えるくらいの完成度でした。


また、海底中のマンタやサメといった魚たちが勢揃いし突進する場面はど迫力! 大きな魚の背に乗り戦う戦士たちや宇宙船のような機体に乗ってビームを撃ちまくり爆発し燃え上がる海底での戦闘シーンはもはや宇宙戦争


スピードが早すぎて目で負えないくらいの激しい戦闘シーンは見応え抜群ですがやっぱり酔いますね。私は酔いました。



とまぁ、色々書いてきましたが、ストーリーが微妙なところを金をかけた凄まじい映像表現で強引に楽しませようとしている大作です。激しいアクションシーンは見応え抜群なので、ストーリーではなくエンタメ映画として楽しみたい方には超オススメです。


MAFEX マフェックス No.095 アクアマン AQUAMAN Ver. 全高約160mm 塗装済み アクションフィギュア

MAFEX マフェックス No.095 アクアマン AQUAMAN Ver. 全高約160mm 塗装済み アクションフィギュア

アクアマン [Explicit]

アクアマン [Explicit]

【映】メリー・ポピンズ リターンズ ~新作ではなく「リメイク」にしてほしかった~

f:id:tel_01:20190202171458j:plain


前作と比較すると、、、といった野暮なことは言いません(言いたいけど)。誰もが笑顔になれる素敵な映画でした。そんな「雰囲気」は良かった映画です。「雰囲気」だけは良かったなぁ。





※ちょっとネタバレあります。





<目次>

1.ストーリーについて

バンクス家の不幸な状況下に突如舞い降りるメリー・ポピンズ。昔メリー・ポピンズに不思議な魔法の世界に連れて行ってもらったことはすっかり忘れ、夢を見れない大人になった2人と再会します。


今回も同じく子どもたちのお世話を強引に引き受け、躾以上に大切なことをまたもや強引に魅せていきます。始めは夢や希望を失っていた子どもたち。しかし、お風呂に潜って海底を泳いだり、陶器の柄の世界へ飛び立ち素敵なメリー・ポピンズのショーを楽しんだり、気がつけば私たちも童心を取り戻していく感覚を全力で楽しんでいました。


街灯の維持をする火の番人たちと霧がかかった暗いロンドンの街中を上や下へと歌って踊ってはしゃぐダイナミックなダンスシーンは見応え抜群!前作の煙突掃除を彷彿とさせられました。誰一人悲観的な人はいない、希望と夢に溢れた笑顔だけがスクリーンに映っていました。


最後はコリン・ファース演じる銀行頭取の悪事をこれまた前作の印象的な場面を重ねて一掃する爽快さ。この場面はぜひ映画館で観てほしいですね。


2.前作との比較

やっぱり前作と比較させてください! なんというか全体的に展開が早すぎるかなぁと思いました。前作は丁寧に物語を進めていたしミュージカルもじっくりと楽しませてくれたと思います。しかし今作は一つ一つのミュージカルシーンが記憶に残っていないんですよね。


曲も記憶に残るものが無い。「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」とか「チム・チム・チェリー」のような印象的な曲は今回無かったんじゃないかな。ストーリーもミュージカルも曲も微妙。


途中、陶器の修理を出しに行ったお店が前作で言うところの「笑ったら浮いちゃう場面」なのかなぁと思いつつも、そのシーンは「とりあえずメリル・ストリープ出したいから追加しました」的なシーンだったのでちょっと残念。CGやデジタル技術ばかり良くなったけど、芯の部分であるストーリーやミュージカル、曲がこうも駄目だと思い出が汚れちゃいますよね。


はっきり言って、新しい物語にするのではなく「リメイク」にしてほしかったです。


3.キャラクターたち

マイケル(父)の銀行マンという設定は良いとしても画家といった設定はほぼ活かされず、過去のメリー・ポピンズとの思い出もあまり語られず終わってしまいました。ストーリーが弱いんですよ。そもそもメリー・ポピンズと子どもたちや大人たちとの絡みが少ない。


そしてメリー・ポピンズの魔法使いっぽい場面が少なくて残念でした。私が大人になってしまったせいで面白さを感じられなくなっているのかも知れませんが、前作の方がまだ愉快でちょっと強気な魔法使い風のメリー・ポピンズというキャラが立っていたと思います。そもそも登場シーンから強引すぎるのが駄目ですよ。


あと、バンクス家の子ども達もちょっと出番が弱いかなぁ。また、前作の男前で物語の中心人物バートが、歌もダンスもビジュアルも微妙なジャックというキャラになってたというのも微妙でした。うーん、前作が美化されすぎているのかなぁ。。。


4.結局どうしたら楽しめる?

前作は観ておいたほうが良いです!今作の中に所々前作の印象的な場面が出てきます。また、バンクス家のお隣に住む提督なんて前作観てないと意味不明でしょう。あとはストーリーを一切意識せずダンス、ミュージカル、歌声をただ楽しむ、そう意識することが大切です。ストーリーを楽しもうと思ってはいけません。



やっぱり名作は名作のまま残しておくほうが良いのかもしれませんね。まぁ、この映画を観て前作を観てくれる人が多くなれば良いなぁって思います。そんな壮大な宣伝のためのリターンズ、そこそこオススメです。


※注意点

メリー・ポピンズって「普段は雲の上で暮らしている魔法使い」という設定なんだけど、リターンズから観始めた人は唐突に空から現れる変な人ってイメージにしかならないから、せめて始めのシーンでメリー・ポピンズってどんな人なのか説明すべきでしたね。


メリーポピンズ スペシャル・エディション [DVD]

メリーポピンズ スペシャル・エディション [DVD]

メリー・ポピンズ リターンズ(オリジナル・サウンドトラック)(デラックス盤)

メリー・ポピンズ リターンズ(オリジナル・サウンドトラック)(デラックス盤)

  • アーティスト: オムニバス,エミリー・ブラント,リン=マニュエル・ミランダ,ベン・ウィンショー,平原綾香,岸祐二,谷原章介
  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2019/01/30
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る
メリー・ポピンズ オリジナル・サウンドトラック デジタル・リマスター盤

メリー・ポピンズ オリジナル・サウンドトラック デジタル・リマスター盤

【映】がっこうぐらし! ~実写がどうこうと言うよりも、純粋に面白くなかった~

f:id:tel_01:20190127000530j:plain


「可愛い女の子の萌的描写」と「ゾンビと破壊と極限状態」という萌と対極にある描写の対比がとにかく激しいこの作品をどうやって実写化するのか?それを多少楽しみにしつつ見に行ってきました。


で感想を一言で言うと「純粋に面白くなかった」です。



1.ストーリー

原作には多少寄せてたかなぁ、という感じです。ただ、急に襲ってきた命の危険がすぐ隣に迫る非日常をどうやって生き延びるか?という極限状態の描写が案外薄かったですね。なんというか中途半端にゾンビたちに襲われる日常になったけど、中途半端に学園生活部として日常を過ごし、中途半端に部内での不和があり、中途半端に終わった感じです。


ただ良かった部分もあります。学園生活部内で和気あいあいと頑張りつつも、新しく入ったメンバーの考え方の違いで危険な目にあったと思えば女子高生らしく恋に悩み危険を招いたり、、、という緩急が効いた展開は良かったです。シチュエーションは違えど原作寄りの展開は良かったのかなぁと思います。


でも、冗長過ぎてつまらない場面が多いかなぁと感じてしまいました。演技力のせいなのかストーリー構成のせいなのかわかりませんが、もっと危機に対して積極的に対策練ったり人間関係で揉めたりしても良かったと思います。物語が一定のリズムで続くため、途中で飽きて「この映画早く終わらないかなぁ」と思ってしまったほどです。


また、最も駄目だなぁと思ったのは、急に学校のみんながゾンビ化してみんなを襲う状態になった原因は一切描かれず、救いも何もない状態で終わったところでしょうか。あまりにも唐突すぎるストーリー展開だったので説明不足感は否めません。


原作がそうだからというのもわかりますが、一つの映画として考えるなら原作読んだことない人は見に来るな、と言わんばかりの内容だったのは残念でした。


2.キャラクター・配役

原作どおりかどうかはこの際無視します。全く知らない役者さんだったのですがアイドルなんでしょうか?上手くはないですね。むしろ下手。だから物語に重みが出ないし途中で冷めちゃいました。なんというか、アイドルありきで映画を作った感がしていい気分にはなれませんね。


ただ、ゾンビに襲われるシーンや逃げて戦う場面は迫力満点!緊迫したシーンの演技やゾンビたちの気持ち悪さ、動き、凶暴性は想像よりもずっと上手かったと思います。学校内に作ったバリケードの外にいるただ外を徘徊しているだけのゾンビたちが、急に校舎内に音楽が流れ音源に向かって襲ってくる凶暴さは漫画やアニメよりも迫力がありました。主人公たち4人は日常的なシーンは下手だけど、アクション系のシーンは案外上手かったと思います。

3.見どころ

結局は、主演の4人のファンならすべてのシーンが見どころだと思います。笑顔だけでなく苦悶の表情やゾンビとの格闘アクション、急に襲いかかってくるゾンビに驚く演技など結構良かった部分もありました。また、学園生活部内の4人の考え方が違ってもしっかり支え合う絆などなど、可愛い女の子たちが体を張るシーンだけでなく心の部分で魅せるシーンもそこそこ良かったのできっと楽しめるはずです。


ただ、ストーリーを重視する系の映画ファンにはオススメできません。ストーリーが弱いし意味不明です。無理やり危機的状況を作ったけど原因や結末は説明無し。さらに感動的なシーンも無理やり作って、、、というあまりにも強引なストーリー展開なので、純粋な映画ファンは途中で帰ってしまうかもしれません。


原作ファンにもオススメできません。原作漫画の方が緊迫感や次の展開への期待感は圧倒的にあります。映画は正直ストーリーがつまらないので次の展開へ期待が持てないんです。なので、原作が本当に好きで全巻集めてるって方は間違ってもこの実写映画は見ないほうが良いです。


4.まとめ

というわけで、思ってたほど悪くはなかったけど、ストーリー展開や主人公たちの演技があまりにも駄目だったため、純粋に面白くなかったなぁ、というのが本音の感想です。私みたいに「漫画実写化反対派」だけど「レビューを書きたい」人であれば話は別ですが、ノリで見に行くと後悔すると思いますのでアイドルファン以外は見に行かないほうが良いと思います。



※注意点

ただ、どんなときでもメイクバッチリなのは流石にどうかと思う。顔のアップが出るたびに苦笑が・・・


がっこうぐらし!  (11) (まんがタイムKR フォワードコミックス)

がっこうぐらし! (11) (まんがタイムKR フォワードコミックス)

がっこうぐらし!  (10) (まんがタイムKR フォワードコミックス)

がっこうぐらし! (10) (まんがタイムKR フォワードコミックス)

がっこうぐらし!Blu-ray BOX(スペシャルプライス版)

がっこうぐらし!Blu-ray BOX(スペシャルプライス版)

がっこうぐらし! コミック 1-10巻セット

がっこうぐらし! コミック 1-10巻セット

【映】劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。~ただの総集編じゃない!~


入場者特典がティッシュ箱でした。泣いてもいいんだよ、という運営からの心遣い、素晴らしかった。TVシリーズの総集編+その後の描写という映画でしたが、涙を抑えることができませんでした。


各シーンをつなぎ合わせた内容ですが、所々に新しい「TVシリーズその後」のお話を差し込んでいくという構成だったため新鮮な気持ちで全て見ることができました。特に、新しいシーンの回想みたいな感じでTVシリーズの場面が都度出てくるので、毎回感動させられてしまいましたね。


じんたんやあなる、ぽっぽが一つのゲームを通じて過去の楽しかった思い出を取り戻すシーンや、ゆきあつのめんまへの想い、つるこの素直になれない心境の変化などなどがぎゅっと映画サイズに丁寧に詰め込まれている良作です。この映画を観つつ、気になった場面があればTVシリーズを見直すというのが良い楽しみ方だと思います。


というわけで、あの花TVシリーズを観たことがない方は作品全体像を短時間で観ながら楽しむことができ、TVシリーズを観たことがある方は作品を思い出しつつ新しいシーンを楽しめます。老若男女、作品のことを知っていても知らなくてもオススメしたい、そんな作品です。


※余談
実際にこの作品の舞台である秩父へ行って、各シーンの舞台を巡ったことがあるのですが、やっぱりどこを歩いていても感動できますね。特にキービジュアルでも描かれている橋だったり、その下にある階段など有名なシーンの聖地に立ってみるとあたかも作品内に入り込んだかのような感覚になれるところが楽しいんです。映画を観た直後に行ったのですが、街を歩いているとどこかにキャラクターが居るんじゃないかって思ったりしました。


tel-01.hateblo.jp


【映】空の境界 第三章 痛覚残留 ~主人公は間桐桜のモデル~


第一章、第二章にもたくさん血が出る描写が出てきました。高いところから落ちたり鋭利な刃物で斬られたり。そんな激しい描写と空の境界の世界観特有のやや難しい物語展開が絡み合うところが面白い作品なんだと思います。


ただ、第三章はいきなり妹の同級生が無理やり犯されているシーンから物語が始まります。そんな悲劇の少女浅上藤乃が第三章の主人公。犯されるだけでなく暴力まで振られた藤乃が目覚めた能力を使い復讐するというのが大まかなストーリー。


陵辱シーンの暗くて薄汚い場面や、浅上藤乃の「歪曲」能力によるややグロテスクな描写が続く映画なので、好き嫌いがかなり分かれる作品だと思います。不良の体を「歪曲」能力で捻じ曲げ殺すシーン、そんな不良たちを徐々に追い詰めていく描写はダークで恐ろしい。


そんな今作は、原作を読んでいてもかなり生々しいエグさが際立っている内容なので、どうやって映像化するんだろう、どうやってある程度多くの方に受け入れてもらえるアニメにするんだろうって観る前は思っていました。しかし、エグいところだけでなく最後の橋での式と藤乃の対決シーンまでしっかりと描ききってくれたのが非常に良かったですね。


一番の見所は最後の「橋」でのバトルでしょう。空間を捻じ曲げる「歪曲」の能力を直死の魔眼を使い斬っていく式。そして最後は橋までも曲げてしまうダイナミックな描写は大迫力。でも爽快感の全く無い物悲しい場面でもあります。ホント、空の境界の中でも好き嫌いが分かれる作品でしょうね。


ただ、空の境界はどちらかというと残酷な描写が比較的多い作品なので、個人的には中途半端にアニメ化してほしくないって思っていました、でも七章構成で物語をストーリーごとに分け、ダークさ、残酷さ、血…といった描写を真正面から描いてくれているので、原作ファンとしては大満足です。


ということで、ダークで残酷でグロテスクだけどとても重要な第三章、個人的にはかなりオススメです。



※ちなみに、当作の主人公浅上藤乃は『Fate/stay night』の間桐桜のモデルみたいです。確かに一見おしとやかな美人だけど淡々と追い込んでいくヤンデレさは桜に通じるものがあります。そういう見方で当作を観るのも楽しいかもしれません。


tel-01.hateblo.jp
tel-01.hateblo.jp


空の境界 全3冊合本版 (講談社文庫)

空の境界 全3冊合本版 (講談社文庫)

【映】劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」 Ⅱ.lost butterfly ~丁寧すぎる描写と迫力が凄まじい~

f:id:tel_01:20190113125318j:plain


映画館で観るべき映画です。



<目次>

1.Fate/stay night [Heaven's Feel]第2章って?

当作は劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel]3部作の第2章。アダルトゲーム「Fate/stay night」の第3章「桜編」です。なので、第1章、第2章の内容を知っていることが前提になります。当然各キャラクターは知っているものとして話は進みますし、世界観、物語の目的などもごっそり省かれた上でのストーリーになっています。当然これらのことを知らない方は観てもなんのことやらさっぱりわからない、と思います(まぁ観ないか)。


さらに3部作の2つ目になりますので、前作(第1章)を観ていないと今回の作品は意味不明です。なぜなら前回の終わりから唐突に物語はスタートするから。個人的には余計な話が加えられていないことに大満足ですが。


2.アニメ表現について

森や城で繰り広げられる超強力な力同士の常識を超えた戦闘シーンの映像表現、破壊力の重さ、表情や建物の細部に渡る描写など完成度の高さに驚きました。ゲームをやっていたときは破壊力やダメージ感、セイバーとバーサーカーの超重量級バトルなんかは文字と画像を観ながら「想像」するしかありませんでしたが、そんな自分の想像を遥かに超えてくる凄まじい映像の力を魅せつけられました。


そんな凄まじい映像の力というのは「バトル」と「人間関係」。「バトル」はサーヴァント同士の戦闘シーン。セイバーとバーサーカー、アサシンとアーチャー、ライダーと士郎などなど、地上から空中、さらには回転し空を飛び地を切る場面転換の連続。アニメーションの底力を感じます。第1章でもすごかったんですが、今回の第2章でも思う存分映画館で楽しませていただきました。


また、「人間関係」模様についてもかなり良かったですね。桜と士郎の近いようで遠い、遠いようで密着したがる心の距離感が映像に現れていました。凛と桜の距離感も同様、精神的な部分を映像に落とし込み魅せてくる表現力には脱帽です。ゲームではここまでの表現はできない、いやゲームにはゲームの良さがあるのでなんとも言えませんが、力強い映像美を体感できる素晴らしい作品だと思います。


3.ストーリーについて

今回のストーリーは桜の取り巻く環境だけでなく桜自身が大きく変わっていく鬱屈した爽快感のあまり無いお話になっていました。サーヴァント同士の激しい戦闘も凄まじく見応えはありますが、その戦闘に至る導線が鬱展開なのでジメジメした部分をどこまで楽しめるか、で満足度は変わってくるんじゃないかなって思います。


セイバーの変貌とそれに対抗する士郎たち、間桐臓硯の暗躍と何を考えているかわからない不気味さ、慎二の小物感、桜の艶めく色気。クスッと笑える部分さえほぼ無かったのですが、原作を知っている私からすると、こういう作品が観たかったと心から言えるものになっていたと思いました。第1章では多少「笑い」の場面は会ったのですが(神父の麻婆豆腐とか)第2章ではそれは皆無。だが、桜編は中盤から後半に行くにつれてどんどんダークサイドな話になっていきますので、個人的には大満足だったりします。


それに怒涛の複雑で残酷なシーンをよくもここまで映像化したなぁというところに感動しました。原作をプレイ済みではあるんですが、これから巻き起こるさらなる残酷で激しくて気持ち悪い描写をどうやってアニメーションにしていくのか恐くもあり楽しみでもあります。


そんな残酷なシーンが最終章では多いんじゃないかって思うので映像化されてもあんまり観に行きたくないなぁとすら思っているくらいです。ただ、ここまで完成度の高いアニメーションを作ってくれたんですから観ないわけがありません。次回最終章は2020年春公開予定、最後まで楽しみたいと思っています。


4.観どころ

ちなみに今作の観どころは2つ。一つがアインツベルン城へ至る森での激しい戦闘シーン。個人的にはアーチャーとライダーのほんの少し語りあうあのシーンが感動的だなって思います。もう一つが桜と士郎、凛との切なすぎる関係描写。桜の恋心と士郎には見せたくないドロドロとした自身の中にある部分との葛藤は全編通して楽しめます。また、桜と凛との複雑な関係についても多少動きがあるので個人的には観どころだと思っています。


動の部分はとにかく激しく、静の部分は静かに重くじっくりとした表現。すばらしかった。もう一回観に行きたいなぁ。


まとめ

というわけで「Heaven's Feel 第2章」は原作ゲームをプレイ済み、もしくはこれまでアニメ化した「Fate/stay night」を観たことがあり、さらに第1章を視聴済みの方であれば大満足できる作品です。自信を持っておすすめします!



※注意点

※FGOしか知らないという方はまだ観に行かないほうが良いかと思います。



↓前作(第1章)の感想です↓


Fate/stay night [Heaven's Feel] (7) (角川コミックス・エース)

Fate/stay night [Heaven's Feel] (7) (角川コミックス・エース)

劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel] I.presage flower」 [Blu-ray]

劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel] I.presage flower」 [Blu-ray]

Fate/stay night (Heaven's Feel) (1) (カドカワコミックス・エース)

Fate/stay night (Heaven's Feel) (1) (カドカワコミックス・エース)

Fate/stay night (Heaven's Feel) (2) (カドカワコミックス・エース)

Fate/stay night (Heaven's Feel) (2) (カドカワコミックス・エース)

Fate/stay night [Heaven's Feel](6) (角川コミックス・エース)

Fate/stay night [Heaven's Feel](6) (角川コミックス・エース)

【映】空の境界 第ニ章 殺人考察(前)~物語のスタート地点~


7章構成の「空の境界」、第ニ章の「殺人考察(前)」が時系列上一番初めの話になります。両儀式、黒桐幹也の高校時代のお話ですね。


高校時代の式が可愛いんですよ。若干幼さを残した顔立ちもあれば真剣を用いて修行する凛々しさも観ることができます。また幹也も式のことが気になりつつも式の以上とも言える行動に目が離せなくなっていき…という展開が恐ろしくも哀しいわけで。


また、式の持つ特殊な人間性とも言うんでしょうか。それが見え隠れしつつ幹也を翻弄する場面、第2章の中でもとにかく重要だと思います。中盤辺りに出てくるこの場面を起点にどんどん物語は静かに激しく進んでいくんです。他人と距離を取ろうとする式もいれば少女のようにはしゃいで幹也を連れ回す式もいる。第1章の式とはまた違った幼くて可愛い式をご堪能ください。


といったように、高校生という多感な時代に静かに大きな事件を目の当たりにしていく二人の男女。そして大きな事件後の話が今後の章へと繋がっていく演出の面白さ、上手いなぁって感じます。演出、物語の構成など7章構成の中の一つではあるんですが、その一つの中でも絶妙な映像表現にキャラクターの心情表現は流石の一言です。


第2章は空の境界という物語をしっかり理解するための重要な章だと思います。空の境界にハマるためにも必ず観てほしい、そんな作品です。


tel-01.hateblo.jp


劇場版 「空の境界」Blu-ray Disc BOX(通常版)

劇場版 「空の境界」Blu-ray Disc BOX(通常版)

劇場版「空の境界」未来福音(完全生産限定版) [Blu-ray]

劇場版「空の境界」未来福音(完全生産限定版) [Blu-ray]

劇場版「空の境界」Blu-ray Disc BOX

劇場版「空の境界」Blu-ray Disc BOX

【映】空の境界 第一章 俯瞰風景 ~原作の雰囲気が見事に映像化~


空の境界は7章構成の作品ですが、すべて映画館で観ることができたのは本当に幸運でした。その中の第1作目がこの「俯瞰風景」です。個人的には映像表現はもとより音楽、雰囲気、空気感など作品すべてが大好きです。


第1章は巷で起きている連続する不審な死について真相を追い求めるという内容。真相に近づくに連れて巻き起こる戦闘シーンの映像表現力は凄まじい迫力。廃墟のような都会の中の団地風景であったり、夕方から夜にかけて移り変わる背景美術など、映像美に目を奪われました。


内容はかなり難解ではあります。連続自殺の真相、主人公である両儀式の取り巻く環境、魔術師に師事する意識を失った黒桐幹也。一回観ただけでは理解することは到底不可能。だからこそ何度も観て徐々にわかってくる歪で美しい世界観を心の底から楽しめると思うんです。


だって、この第1章含め空の境界という作品は「奈須きのこの描く世界」をある程度理解していないと入り込めない内容です。完全に視聴者を置いてけぼりにします。登場人物の紹介なんてものはなく、どんどん話は進み急に事件が起きそれをさっそうと解決し終わります。


なので、ある程度奈須きのこの世界観を知っていないと楽しめないと思います。少なくともFateはゲーム含めて知っておいたほうが良いですね。あわよくば、月姫、魔法使いの夜も知っておいたほうが良いかもしれません。


そんな迷作ならぬ名作たる当作品をもっと多くの方に楽しんでもらいたい、そう切に願います。キャラクターや作品の世界観がとにかく素晴らしいのでまずは一度ご覧になっていただきたいなって思います。



※Fateよりも月姫よりも空の境界が好きなので、ぜひ新しい作品を作って欲しいなって思ってます。


劇場版 「空の境界」Blu-ray Disc BOX(通常版)

劇場版 「空の境界」Blu-ray Disc BOX(通常版)

劇場版「空の境界」未来福音(完全生産限定版) [Blu-ray]

劇場版「空の境界」未来福音(完全生産限定版) [Blu-ray]

劇場版「空の境界」Blu-ray Disc BOX

劇場版「空の境界」Blu-ray Disc BOX

the Garden of sinners-劇場版「空の境界」音楽集-

the Garden of sinners-劇場版「空の境界」音楽集-

【映】ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow ~導入も過程もオチも弱すぎる駄作~

f:id:tel_01:20190104234321j:plain




※ネタバレあり









新年一発目の映画はラブライブサンシャインでした。作品はそこそこ好きだしキャラも愛してる。でも、映画の出来は疑問符だらけの駄作というのが率直な感想です。そんな残念だった作品をレビューしていきます。



1.ストーリーについて

歌やダンスは素晴らしい。さすがはラブライブサンシャイン。でも序盤のあのダンスは何だったのかよくわかりませんでした。唐突に始まったもんだから何かあとで説明があるのかなと思いきやスルー。もやもや感を残したまま物語は続きます。


また、「映画全体の主題(目的)」が見えてこなかったしあったとしても弱かったです。海外に行ったけどそれに大きな意味を感じられなかったし、気づいたら沼津で何故かステージ。色んなものを詰め込みすぎたが故にまとまりの無い行方不明系映画に成り下がっていたように思います。


特に、新しい高校へ編入することに反対する勢力を見返してやる!という熱い展開になるかと思いきやそんな人達は前には出てこずはっきり言って有耶無耶。今回の映画の敵対勢力は「編入反対派の親たち」「マリーのお母さん」


この2大勢力に立ち向かいつつ物語を膨らませていくのかと思ったのですが、3年生が卒業することに対するSaint Snowの苦悩と新生Aqoursの葛藤、マリーの家庭問題、編入できない・・・という大きな課題がたった2時間弱に詰め込まれているのでちぐはぐになってるんですよ。ボリューム不足です。3章構成とかにしてほしかった。


さらに、最後のシーンは唐突に終わったなぁと感じてしまいました。大きな目標があってそれを達成して終わる、、、という映画ではなく3つくらいの目標がコロコロ移り変わり、最後は盛り上がらないまま有耶無耶~って感じに終わったという印象です。新年早々駄作を見てしまい幸先の悪いスタートダッシュ、次はハズレを引きたくないなぁ。


2.キャラクターについて

一応全員に見せ場はあったかと思いますが、個人的にはヨハネとルビィが目立ってたように感じました。まぁ登場人数が多いので全員を光らせるなんて無理だと思ってます。でも無理に調整した結果チグハグになってしまったのではないかと邪推までしてしまいました。


そもそも、今回のお話は前作の劇場版ラブライブ以上に海外に行った理由が弱かった。マリーが親から逃げるっていう展開はなんとなく予想はできますが、あまりにも展開が早すぎた。千歌たち2年生と1年生が初めて行くイタリアで彷徨いながらなんとか必死で見つけるのかと思いきや、あっさりと3年生たちと合流。


で、すぐさま唐突にライブをしちゃってもう沼津!?という展開。劇場版ラブライブよりも酷いです。マリーだけに焦点があたり他の3年生は空気でしたし、イタリアで目立ってたというか推されていたのは大聖堂に行けてテンションの上がったヨハネとリーダーシップをとろうと頑張るルビィくらいです。


2年生たちも千歌はセンターなので目立ってはいましたが、曜ちゃんや梨子はやや後ろに下がっていたかな? あまり印象に残っていません(というか私はマリー推しだから)。むしろAqours以外のキャラクターの方が目立ってたし重要な役回りだったような気がします。Saint Snowとか曜ちゃんのいとことか。


主人公9人を2時間弱で全員目立たせるのは無理だと思いますし、新キャラやサブキャラもたくさん出てくる。やっぱり3章構成、もしくは2部構成にして丁寧に物語を構成してほしかったなぁ。キャラクター全く知らないような初見でも多少は楽しめるとは思いますが、私は正直オススメしません。


3.曲について

曲はすごく良かったしダンスシーンも圧巻。特にイタリアで9人で踊るシーンは良かった。曲自体は若干コミカルな感じだったのですがそれがまた物語と合っていたと思います(マリー推しなので)。


それにイタリアでの3年生だけの曲も良かった。劇場版ラブライブみたいに1年生から3年生までそれぞれ学年ごとに曲があるのかと思いきや今回は3年生だけ。でもマリーを中心に衣装も曲もダンスも可愛いかったので大満足。


オープニングの沼津の街中をたくさんのアイドルと共に歌って踊るミュージカルのようなシーンは映画館だからこそ楽しめる大きさと迫力。ストーリーのところでも触れましたが、確かに意味不明ではあったんですが曲やダンス、演出面は最高! また観たい、そんなシーンです。


ただ、Saint Snowの曲良かったなぁ。。。


4.総評

と、長々書いてきましたが、感想を一言でいうと「何も心に残らない駄作」といったところでしょうか。前作の劇場版ラブライブも致命的に面白くなかったので、まさか今回もそうだと単純に私の感性に合わなかっただけかもしれません。


残念ですが当作は「ラブライブサンシャインファン」か「可愛い女の子のキャッキャウフフが見たい人」だけしか見に行っては駄目です。


点数は【1.4点(5点満点中)】。下記にもレビューを書いてますが、ちょっと個人的には合わなかったかな。




※追記※

ちなみに映画開始冒頭ではスクリーンの写真を撮っても良いタイミングがありました。今回は千歌ちゃんということは翌週は別の絵になるのかなぁ?という期待を残してくれました。


f:id:tel_01:20190104234337j:plain


こういう企画って面白いですよね。SNSで盛り上がれば映画の宣伝にもなるしファンも増える。たまに別のライブで撮影OKの時間があったりしますが、記録も記憶も残るって良いなぁって思います。




ラブライブ!サンシャイン!! Aqours CLUB CD SET 2018 GOLD EDITION (メーカー特典なし)

ラブライブ!サンシャイン!! Aqours CLUB CD SET 2018 GOLD EDITION (メーカー特典なし)

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』オリジナルサウンドトラック 「Sailing to the Sunshine」

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』オリジナルサウンドトラック 「Sailing to the Sunshine」

【映】リズと青い鳥 ~原作小説の紹介~

f:id:tel_01:20181225153319j:plain
リズと青い鳥HGポスター(B2)


2018年に観た映画の中で最も面白かった作品は「リズと青い鳥」ですね。多分ダントツに面白かったし感動したし雰囲気も演出も質が高かったと思います。TVアニメシリーズが放送されているときからずっとファンだったので、今年トップの言うのはある種予定調和かもしれません。でも、他の映画でここまで感動した作品がなかったので私の中では1位にしています。



そんなリズと青い鳥ですが、原作小説を読んでる人って周りにあまりいないんですよね。原作小説のタイトルは「響け!ユーフォニアム」なんですが、私はこの作品を小説で追っているのでよりアニメを楽しめてるなぁと思っています。例えばリズと青い鳥後半の鎧塚みぞれがリズと青い鳥第三楽章をソロで吹くシーン。ここの文章表現はまさに怒涛。


ソロの力強さと迫力を文章で広げながら、周りを取り巻く部員の心理描写で底を支える見事な2ページ。これはアニメ動画とはまた違った趣があります。



ちなみに、リズと青い鳥の内容が書かれているのが「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編・後編」なんですが、リズと青い鳥がメインというわけではなく、久美子たちが2年制に進級し新しい体制となった吹奏楽部での物語の一部という感じです。新しく入部してきた後輩との関係や新部長・副部長の苦悩などなど結構読み応えがありますね。


特に、久美子と幼馴染のトロンボーン担当の秀一との関係であったり、1年前とは打って変わって強豪校になった北宇治の立ち位置の変化などなどTVシリーズ以降の気になる物語が書かれているのでファンなら買いかなぁと思います。


余談ですが、久美子と秀一の関係については「響けユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」最終章に載っています。このシーンを読みたいがために購入したのを今でも覚えています。



そんなわけで、2019年4月に公開される響けユーフォニアムの劇場版新ストーリーを今のうちから予習するためにも、前編後編は読んでおいたほうが良いのかなと思います。



TVアニメ「響け! ユーフォニアム」 オフィシャルファンブック

TVアニメ「響け! ユーフォニアム」 オフィシャルファンブック

響け!ユーフォニアム2 コンプリートブック

響け!ユーフォニアム2 コンプリートブック

このマンガがすごい! Comics 響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏 1

このマンガがすごい! Comics 響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏 1

【映】ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 ~何が面白いのかわからなかった~

f:id:tel_01:20181124155630j:plain



※前作見てません & ハリーポッター1作目以外を観たことがありません



面白いと感じたのは、始まってすぐの空飛ぶ馬車内で繰り広げられた豪快な脱獄劇でしょうか。それ以外は冗長すぎるストーリー、よくわからない登場人物、盛り上がりに欠けるアクションシーンだったので、面白さを感じる前に映画が終わってしまいました。


その上、物語は続くこと前提なのかな? オチも弱いしただただ長いだけの退屈なストーリーの繰り返しという印象です。あまりにも面白くないし映画に入り込めなさすぎて頭痛がしてきました。


そもそも主人公のニュートがキーマンみたいな扱いをされていたけど、強いのかそれとも知識が膨大なのか前提情報がなかったので感情移入できず。まぁ、それは「前作を見ろ」って話なのかもしれませんが、ここまで大作で有名で広告費をかけている映画なんだから初見でもある程度面白いんだろうと信頼してしまった自分が悪いんです。


ストーリーも、いきなり現れたジョニー・デップが扮する悪役の魔法使いが大した動きをするでもなく危険視されていて、これまた急に出てきた「ダンブルドア」って人がニュートに指令を与えたと思ったら、魔法省の偉い人たちに今度は魔法を制限され・・・と、内容がわからないままどんどん物語は進んでいきます。


その間も、海外へ行くことを禁止されているニュートが一般人(魔法を使えない人)と婚約者を探しに動き出して・・・なんというか、一つの映画の中に複数の物語が同時に走っているため、初見の私のような人間からすると全体像を捉えることができない状態に陥るんです。魔法が使えればいともたやすく映画を楽しめるんでしょうけど、私はマグル(魔法が使えない人)なのでくるっと杖を振って楽しい世界へ行くことは出来ませんでした。


まぁ、私自身ハリーポッター1作目自体面白いと思えなかったので、こういうヨーロッパが舞台の魔法ファンタジー物語ってのは好きではないのかもしれません。なので、あくまでこのレビューは一意見として捉えていただけると嬉しいです。



『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』魔法映画への旅

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』魔法映画への旅

【映】ボヘミアン・ラプソディ ~最後のライブシーンで号泣~


私自身Queenを全く知らない世代です。知ってる曲は「We will rock you」「We are the champion」の二曲くらいです。そんな私でも最後の最後で号泣。頬を流れる涙を止めることができませんでした。


映画自体はよくあるストーリー。デビューしてうまくいってたけど、途中で主要メンバーが傲慢になり内紛が起きて解散寸前。最後の最後で絆を取り戻してラストへ、という内容。でも、なんというか重みが違うというか凄まじい人間模様というか、楽曲が素晴らしすぎるというか… もうスクリーンからいっときも目を離せませんでした。


特に主人公でありQueenのリードボーカルフレディ・マーキュリーの人間味がリアルすぎました。生まれや人種、容姿(出っ歯)、セクシャリティ(ゲイ)など短い時間の中で思いっきり織り込まれており、様々な葛藤が華やかな舞台との対比で絶妙に描かれていました。


と思いきや、アルバム内の曲「ボヘミアン・ラプソディ」という曲が6分を超えるということでシングルカットを強硬に拒むレコード会社側と、絶対にいける!と自分たちの作品を世に出したいバンド側の攻防や、フレディ・マーキュリーがソロデビューすることをメンバーに告げたときの不穏な空気など、音楽活動・お金・人間関係といったものが超リアルすぎ。華やかな裏にはこんな殺伐とした現実があったんだなぁと初めて知りました。


そして物語は終盤へ。フレディ・マーキュリーがエイズを患っているという現実を告げられた瞬間、そしてバンドメンバーに告げる瞬間。重く儚く切ないシーンを観たかと思えば、次の展開でライブエイドへ。


ライブエイドに行く前に立ち寄った家族の元での父との会話の場面ですでに私は大号泣。そこから怒涛、そして圧巻のライブシーン!1曲目から鳥肌立ちまくり!涙出まくりでボロボロ! そのあと21分間、私達TOHOシネマズ日比谷IMAX上映館の観客全員はあのライブスタジアムに間違いなく行っていましたね。


最後のWe Are the Championsは、ここまでの映画のストーリーが全て押し寄せてくる感動と、フレディ・マーキュリーのこの瞬間の重すぎる思い、エイズであると知ったバンドメンバーたち、短い命を悟ったこの刹那すぎる状況があまりにも壮絶で感動するしかない、そんな場面だったと思います。


ほんとに良かった。映画が終わったあと、思わず拍手が劇場内で鳴り響くなんて久しぶりに体験しました。いやー、面白かった、凄かった、この映画は映画館で観るべき映画です。可能であればIMAXやDOLBY ATMOSといったより良い音響設備がある映画館で観てほしいですね。


時代が変わっても色あせない音楽たち、そして時代時代で多くの人たちが一緒に音楽を育ててきたことが今の感動に繋がっているのだと思います。ボヘミアン・ラプソディは今だからこそ観るべき、そんな映画だと思いました。


※映画内の曲、タイトルがわからないから調べることもできないのが辛い…


ボヘミアン・ラプソディ 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

ボヘミアン・ラプソディ 2枚組ブルーレイ&DVD [Blu-ray]

【Amazon.co.jp限定】ボヘミアン・ラプソディ 2枚組ブルーレイ&DVD (特典映像ディスク&オリジナルTシャツ付き)[Blu-ray]

【Amazon.co.jp限定】ボヘミアン・ラプソディ 2枚組ブルーレイ&DVD (特典映像ディスク&オリジナルTシャツ付き)[Blu-ray]

ボヘミアン・ラプソディ [DVD]

ボヘミアン・ラプソディ [DVD]

【映】ビブリア古書堂の事件手帖 ~前の「あれ」より数億倍面白い!~

f:id:tel_01:20181104141349j:plain


ビブリア古書堂の事件手帖って過去実写ドラマになってるんですよね。月9史上最低の視聴率を叩き出した「あれ」です。まぁ、あれは完全にミスキャストと大人の汚い都合ばかりが印象に残ってしまったんでストーリーを楽しむ余裕が全くありませんでした。というか、あれは単なるド素人が作ったスピンオフだと思っています。


で、今回のビブリア、個人的にはとても面白かったと思いました。とりあえず栞子さんが原作に忠実な雰囲気だったのでそれだけで大満足です。五浦大輔も栞子の妹文香も良いキャスティングだと思いました(前の「あれ」があまりにも駄目すぎたので評価が甘くなっているのかもしれない…)。


ストーリーは1巻の内容。謎の人物に階段から突き落とされた栞子さん。その事件の発端となったのは一冊の小説。栞子さんとアルバイトの大輔が
犯人を見つけようと奔走するってお話です。


物語の内容は大体知っているのですが、小説から感じるおっとりとした世界観、古書店と文芸作品とおしとやかなお姉さん、そして体は大きいけど争いを好まないアルバイト、レトロだけどなにか優しい、そんな絶妙に心地よい雰囲気を的確に魅せていたと思います。


そして事件の発端となった一冊の小説を巡って祖父たちの時代、そして今の時代という場面を交互に見せつつ真相を解明していく演出は楽しかった。確かに所々に甘いなぁと思えるような事件も続くんですが、それを補ってもあまり余るキャラクターたちの魅力や雰囲気がありました。


願わくば、この映画を観て原作小説を手に取ってくれる方が一人でも多くなればいいなと思います。前の「あれ」を見てショックを受け小説すら読まなくなった方も少なくありません。そんな方が少しでも戻ってきてくれるなら…


===================================
<補足1>
ワタシ的高得点のこの点数には
・「原作のことが好き」という補正
・前の「あれ」よりも数億倍面白い
というバイアスがかかっています。

<補足2>
前の「あれ」というのは、フジテレビ月9で放送された剛力彩芽主演の「ビブリア古書堂の事件手帖」です。
===================================


↓前の「あれ」↓